相続財産は、個人から相続したプラスの財産だけではありません。マイナスの財産も相続財産となります。また、相続税の申告と納付の必要性の検討をするためには、「みなし相続財産」や「生前贈与財産」も同時に調査対象とする必要があります。
亡くなられたご自宅には、貴重品を管理している場所や郵便物から相続財産について手掛かりになるものが残っているはずです。
例えば、金融機関の通帳やカードがあれば、口座があることが確認できます。また通帳の取引明細から証券会社との取引、借金の返済の記録、そして生前に贈与した形跡(生前贈与財産)の有無を確認することができます。また生命保険会社との取引の記録があれば、直接連絡をして取引内容を確認することができます。
不動産の場合には、本人宛に届く固定資産税納税通知書、法務局の窓口(ウェブサイトでもダウンロード可能)で取得できる不動産登記事項証明書、そして市町村役場の窓口(ウェブサイトからダウンロード可能)から取得できる名寄帳により所有していた不動産の確認をすることができます。
相続財産
プラスの相続財産
- 現金預金
- 土地・家屋、不動産の権利
- 自動車や宝石などの動産
- 株式・国材・社債・ゴルフ会員件などの有価証券
- 売掛金・貸付金・損害賠償請求権などの債権
マイナスの相続財産
- 借金や住宅ローン
- 未納の税金
- 営業上の未払い代金
みなし相続財産
みなし相続財産の代表的な例は、次のようなものがあります。
死亡保険金
亡くなられた方が保険料を負担していた生命保険契約の死亡保険金は遺産分割の対象とはなりませんが、契約上の受取人が相続又は遺贈により取得したとみなされ相続税の課税対象となります。
死亡退職金
亡くなられた方に支給されるべきであった退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与を受けている場合で、亡くなられて3年以内に支給が確定したものは、相続財産とみなされて相続税の課税対象となります。
ただし、死亡保険金と死亡退職金はそれぞれ以下のとおり、非課税枠が適用できます。なお、
相続人以外の人が取得した金額には、非課税の適用はありません。
(注) 500万円×法定相続人の数=非課税限度額
死亡保険金や死亡退職金は、全ての相続人が受け取った金額の合計額が次の算式によって計算した非課税限度額を超える時は、その超える部分が相続税の課税対象となります。
生前贈与財産
故人から亡くなる前3年以内にもらった財産や、相続時精算課税制度でもらった財産などが該当します。3年以内であれば贈与税がかかっていたかどうかに関係なく対象となります。